サラシナショウマ(晒菜升麻)

【2013年9月】
八ヶ岳山麓の山地を歩いていて、ふと出会った可憐な花に感動したことのない人はたぶんいないはずだ。
無垢の魅力を放つこれら無数の花々の名前を覚えようとすればかなりの努力を要するが、 サラシナショウマは例外的に覚えやすい花の一つだ。 晩夏から初秋にかけて、草木茂る中にすっと穂を揚げて丈高く立つ姿は凛として潔い。
サラシナの音から月の名所の更級を思ったが、そうではなく、かつて若芽を食用にしていたころ、 数日間清流に晒したり、茹でた後で水に晒したりして苦みを抜いたので晒し菜というのだそうだ。
ちなみに根は漢方薬の升麻で、解熱・解毒・うがい薬として使われるという。
さらさらと さらすさらし菜 根は升麻
穂は三日夜の 更級の月
(文・写真 小飼むら子)