【2020年10月】
昨年の9月後半、クラブのグループ登山で金峰山一泊二日の山行を行った。
須玉町の瑞牆山荘登山口となる富士見平ルートのロングコースのピストンだ。一日目の雨模様とは打って変わり、二日目は好天気。
山頂からの下り、ダケカンバの紅葉と北杜の町並みが見えた。今から下る岩の稜線は気が抜けない。
その稜線の途中に片側が切れ落ちた岩壁で「千代ノ吹上」と呼ばれる場所がある。
伝説によると山麓の大豆生田(まみようだ)の信心深い大工夫婦が金峰山登拝の途中、女人禁制の祟りか妻の千代が滑落してしまった。
夫は妻の許しを神に願い、山頂で7日間の断食をした。そして満願の日、千代は谷底から吹き上げられ戻ってきた。
それからこの絶壁を村人は「千代ノ吹上」と呼ぶようになった。丁度その時、ガスが沸き上がり、まるで伝説通りの一瞬のようであった
(写真・文 安本 みどり)