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電波観測から見えてきた太陽活動の低下
共催;山梨県立八ヶ岳自然ふれあいセンター
 
講  師 柴崎 清登 氏 (元野辺山太陽電波観測所所長)
日  時 2015年10月2日(金曜日) 13:00〜15:10
天  候 晴れ
参加人数 45名
場  所 八ヶ岳自然ふれあいセンター



 今回は身近にある野辺山太陽電波観測所のお話を元所長の柴崎氏から伺いました。
電波天文学は、戦時中のレーダー操作時に宇宙から電波がきている事に気づいたのが発端。野辺山宇宙電波観測所には45mのミリ波電波望遠鏡、 ミリ波干渉計、太陽観測に特化した太陽電波強度偏波計、85台のアンテナからなるヘリオ(太陽の)グラフ(撮像装置)がある。

強度偏波計は1951年から7つの周波数で継続観測しており、黒点の数との相関があります。ヘリオグラフは太陽画像を鮮明にとらえ、 表面の突発的な爆発現象「フレア」の発生源といわれる「彩層」や「コロナ下層」の様子を調べることができる。 大規模なフレアは人工衛星に不具合を起こしたり、停電を起こしたりします。そのメカニズムの解明で予報の期待があります。 ヘリオグラフ情報から展開図や蝶形図を作成、その傾向を調べると活動の低下が見られます。

太陽には4つの謎がありました。その一つニュートリノが少ないという問題は小柴さんが解決。@フレアの原因・メカニズム、 Aコロナ加熱(表面が6千度なのにもっと上空のコロナが百万度)B(黒点の増減)活動周期11年の原因の3つが残っています。 現在は太陽観測衛星「ひので」や海外の衛星「SOD」「IRIS」等と連携し解明に近づいています。

黒点はガリレオの時代から継続観測されており、特に黒点がほとんどなかったマウンダー極小期には気温が下がりテムズ川が凍り、 小氷期といわれ、黒点との相関が喧伝された。火山灰や産業革命の石炭消費によるものの影響が大と思われる。 テムズ川はロンドン橋の橋桁の構造が原因で凍ったものと思われる。現在は黒点が気候に及ぼす影響は非常に少ないと考えます。

観測データーはインターネットでオープンになり、世界中の研究者が共同で研究を進めている。大気圏内の気候への影響はほとんどないが、 上層大気は人工衛星に大きな影響を及ぼす。

太陽にはまたまた分からない所があるのだと知らされた講演でした。




p01 p02 p03

講師 柴崎 清登 氏
(元野辺山太陽電波観測所所長)

野辺山宇宙電波観測所全景
主に4つの施設がある

電波強度偏波計群
太陽電波放射量の測定

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電波強度と黒点数の推移
相関あり(1951年〜2015年)

会場の様子

電波ヘリオグラフ
太陽の詳細な画像がとれる

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ヘリオグラフによる画像

太陽展開図
(27日で一周)

電波蝶形図 活動低下傾向
1992年〜2015年

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太陽の4つの謎
ニュートリノは解決した

巨大フレアによる
地球への影響

巨大フレアにより磁気圏に歪み
カナダの変圧器焼損、大停電

p13 p14 p15

太陽観測衛星ひので
コロナ加熱の謎解明へ

黒点が少ないマウンダー極小期
小氷期との関連は少ない

太陽活動低下の影響
身近な気候への影響は少ないが
衛星など上層大気に影響


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