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写真で見る八ヶ岳南麓の野鳥
(撮影・桑島献一 / 文・齋藤一紀)
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■春の野鳥(留鳥:一年中生息)

フクロウ
鳥好きでなくても見たい鳥のNO.1は、このフクロウでしょう。里山から山地まで広い範囲に生息する種ですから、決して珍しい鳥ではありませんが、夜行性故になかなか姿を見ることは難しいのが実情です。しかし、八ヶ岳山麓にはたくさん生息していますし、昼間活動する個体が多くいることもあって、たぶん日本で一番見やすい場所だと思います。ぜひ八ヶ岳へフクロウ・ウォッチングにいらして下さい。

アカゲラ
キツツキは4種が生息していますが、その代表格は何かと言えばこのアカゲラが挙げられます。八ヶ岳の森のどこにでもいる、と言って良いほどなのですが、いざ観察しようと思うとなかなか姿を現わしてくれません。アカゲラとアオゲラは家の板壁や軒天井に穴を開ける習性がある為に、特に別荘の方々からは嫌われている鳥です。

アオゲラ
アカゲラより一回り体が大きいので、巣穴を掘る太い木がある豊かな森がないと生息しないと思っておりましたが、意外と環境適応能力に優れているようで、身近な場所でたくましく生活をしているようです。ただ、警戒心が強い為にじっくりと姿を見たりすることは結構大変で、人の気配を感じるとすぐに木の裏側に身を隠してしまいます。早春の森からはピョォ−、ピョォーというアオゲラの鳴き声がよく聞こえてきます。

キジ
牧草地が多くある八ヶ岳高原は、キジにとって絶好の生息地ですので数多くの姿を見ることが出来ます。日本の国鳥であるにもかかわらず、代表的な狩猟鳥でハンターに狙われている為に警戒心が強いのですが、ほとんど地上で生活をする習性から見つけ易い鳥です。これからの季節にはメスが沢山のヒナを連れた愛らしい姿を見ることが出来ます。

ミソサザイ
早春より、渓谷沿いの林の中から鈴を鳴らすような美しい鳴き声が聞こえてきます。この鳴き声の主はミソサザイです。体の大きさは日本最小の部類に入りますが、鳴き声は渓谷の水音に負けないような大きな声です。地上近くの木の枝や苔むした岩の上で鳴く姿を探すのは時間が掛かりますが、その姿を一度見ればミソサザイのファンになること間違い無し!です。

イカル
目立つ大きな黄色い嘴と淡いグレーの体色から、始めて見た人はその美しさから飼い鳥が逃げ出したのかと思うくらいのインパクトを与える鳥です。鳴き声も透き通った綺麗な大きな声ですから、聞き逃すことはないでしょう。八ヶ岳高原では、かっては漂鳥でしたが今では留鳥として一年中見ることが出来ます。地球温暖化の影響でしょうか。庭の餌台に数十羽の群れがやって来る所もあります。
■春の野鳥(漂鳥:4月〜10月)

アカハラ
八ヶ岳には広大なカラマツの植林地がある為に、明るい林を好む野鳥が多く生息しています。アカハラはこの八ヶ岳の初夏の野鳥を代表する種で、かってはアカハラだらけと言って良い程どこにでもいたものです。しかし最近は、その姿は激減し数が少なくなってしまいました。この現象は八ヶ岳だけに限らず、全国的な傾向のようです。原因は今のところ不明ですが、これ以上数が減らないことを願っております。

アオジ
目立つことが嫌いらしく、地味な色合いで藪の中や木陰などで生活をしている為に、冬の間庭や公園など身近な場所にいるにもかかわらず、その存在や名前は一般に良く知られておりません。八ヶ岳高原ではポピュラーな野鳥ですが、姿はなかなか見せません。鳴き声はホオジロとノジコに良く似ていますので、要注意です。

ウグイス
梅に鶯。古来より日本の野鳥の中で、この鳥ほど有名な鳥はいないでしょう。名前と鳴き声については知らない人はいないと思いますが、姿は知らない人がほとんどです。一般的なウグイス色はメジロの色で、ウグイスは藪の中にいて目立たない色、つまり藪色(私個人の表現方法)なのです。姿を見たい人は、鳴き声のする藪とにらめっこをして下さい。根気で勝負です。

メジロ
梅に鶯とくれば、椿に目白か桜に目白でしょうか。メジロは甘党ですから、花の蜜が大好きです。同じ甘党のヒヨドリには意地悪をさっれぱなしですから、愛鳥家からの同情を一身に集めている人気者でもあるのです。高原では5月の中旬頃に、山桜の花に群れる姿を楽しむことが出来るでしょう。そしてラッキーな人は、メジロ押しの姿を見られるかも。

モズ
和名では百舌と書きます。モズは他の鳥の鳴き声を鳴きまねをして、誘き寄せて襲うらしいのですが、そのような行動をほとんど見かけることはありません。主な餌は昆虫であることがその理由でしょうか。八ヶ岳高原には俗に言う高原モズが多くいますので、平地にいるモズとは色合いが少々異なり、違和感を感じるかも知れませんが、ほぼただ(普通)のモズです。

ルリビタキ
日本人は青い鳥が大好きな国民のようです。カワセミ、オオルリ、コルリ、そしてルリビタキのファンが多くいらっしゃいます。幸せの青い鳥と言われるルリビタキは、可愛らしい容姿とつぶらな瞳から、特に人気です。亜高山帯近くの森で繁殖をするので、薄暗い針葉樹林内で行動していて”鳴き声はすれども姿は見えず”と言う具合。美しいものを見るには苦労します。
■初夏の野鳥(夏鳥:5月〜9月)

オオルリ
青い鳥を代表する種として、姿そして鳴き声共にベリーグッドで申し分ありません。オオルリは渓谷沿いの森林を好みますので、渓谷が沢山ある八ヶ岳山麓では多数生息しています。木の梢で囀っていることが多いので、見易い鳥のように思われますが、絶好のソングポストを知っていないと背中の青い色を見るのには苦労をします。頑張って探してくださいね。

キビタキ
森林の鳥と言えばオオルリ、クロツグミ、キビタキでしょうか。その中で一番小さくて動きが速く、林内にいて目立つ場所に出ない為、じっくり観察することが難しい鳥はこのキビタキです。最も楽に観察できるのは、警戒心の弱い渡って来たての時期でまだ葉が茂っていない頃か、繁殖期に入って良く囀る頃がポイントでしょう。とても可愛らしい鳥です。

クロツグミ
以前(10数年前)、八ヶ岳山麓ではほとんど見ることが出来ませんでした。最近はあちこちから、クロツグミの美しい鳴き声が聞こえてきます。嬉しいけれど何故?。日本の野鳥の中で、声が一番美しく、一番複雑に長く鳴く鳥ですから、その歌声には誰しもが聞き惚れてしまいます。それが八ヶ岳では自宅の玄関先で聞けるのですから、そりゃーもー天国に住んでいるような贅沢な気分になれるのです。

カッコウ
夏の高原をイメージする鳥は、間違いなくカッコウですよね。カッコ−、カッコ−と爽やかに目立つ場所で鳴きますので、とても分かり易い鳥なのですが、意外と”姿を見たことない”と言う人が多くいます。いくら目立つ鳥でも、見ようとしなければ見えないと言う良い証明でしょうか。5月中旬頃渡来し、最近数が少ないことが気になりますが、托卵をする習性故、単純にもっと増えてとも言えず心境は複雑です。

ノビタキ
牧草地の多い八ヶ岳高原は、ノビタキ銀座です。他の鳥が見られなくてもノビタキだけは間違いなく見られます。期待を裏切らない信頼できる好い奴なのです。いつも白黒のフォーマルウェアーを身にまとい、礼儀正しく迎えてくれます。ですから、こちらも礼儀正しく観察して脅かさないように気を使いたくなるのです。近くで写真を撮りたいからと言って、牧草地内に入ったりしないようにするのは最低限のマナーですよ。

ホオアカ
ノビタキと同じく牧草地に好んで生息していますが、数も少なく地味に目立つことなく生活していますので、見つけるのにちょっと苦労するかも知れません。見通しの悪い草の上や低木の上に止まり、遠慮がちな小さな短い鳴き声の為に見逃してしまいがちになるのです。しかし、その姿を見つけた時の喜びは大きく、シックな色合いと謙虚な態度に一目惚れすることでしょう。

アカモズ
絶滅寸前と言って良いほど数が減っていて、繁殖場所は非常に限られた場所である為、アカモズ情報は仲間内でもトップシークレットになっています。この一二年の間、八ヶ岳以外では繁殖の確認がされていないのではないかと心配をしています。取り越し苦労であれば良いのですが・・・・・。毎年、姿が見られるかどうか一番心配をしている種です。

サンコウチョウ
数は少ないですが、毎年繁殖をしている場所はあります。その繁殖場所は、近年別荘地開発の影響を受け、森が年々減少している為にいつまでも生息できる状況ではありません。八ヶ岳最大の自然環境問題が、この別荘地開発なのです。早く対策を講じなければ、別荘地が住宅街になってしまいます。人と自然の共存は私達の永遠のテーマなのです。

ヨタカ
どうして全国的にいなくなってしまったのでしょうか。ほとんど絶滅危惧種になっています。アカモズに次いで心配です。私はもう何年も姿を見ていませんし、キョッキョッキョッキョッキョッ・・・・・と単調に長〜く鳴く鳴き声も聞いていません。八ヶ岳山麓は蛾が多いことでも知られている場所ですから、他の場所よりは餌は多くて棲み易いと思うのですが、寂しいことです。

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