春の使者「ヒメギフチョウ」

【2004年6月】
八ヶ岳美しの森で、春の使者ヒメギフチョウに今年も出会うことができました。
翅の斑紋はアゲハチョウに似ていますが、ふた周りほど小形です。スミレやカタクリの蜜を吸いに訪れます。この春の使者は不思議な習性をもっており、雄は交尾後雌の腹端に分泌物を出して貞操帯をつくり、雌は一度の交尾で貞淑な生涯を終えます。そのためか、またの名を『春の女神』と呼ばれています。
日本の中部以北に分布しますが、生息地は限られていて、八ヶ岳の自慢の生物のひとつに数えて良いと思います。食草はウスバサイシンですので、見つけたら葉裏をのぞいてみましょう。卵が沢山付いていれば来年もきっと『春の女神』がやってくるでしょう。(青木興家)