樹液に集まる昆虫たち

【2015年9月】
少年時代、樹液の出ているクヌギやコナラを目当てに、朝早くから雑木林に分け入ってカブトムシやクワガタムシを採集した思い出がある。
昨今、この八ヶ岳南麓一帯でも、オスのカブトムシの小型化やクワガタムシの減少を感じていた。 主に集積された腐葉土に産卵、孵化までを過ごすカブトに比べ、朽木でその過程を経るクワガタは、 里山の雑木林の荒廃や太陽光発電パネル建設による樹木の伐採の影響を、より大きく受けていると思われる。
我が家の近くの雑木林でも人の手により伐採が繰り返され生育してきた台場クヌギ(お化けクヌギとも呼ばれる)をめっきり見かけなくなっている。 そんな中、久しぶりに樹液滴る大木に群がるノコギリクワガタや黒カナブン等の甲虫類が観察できた。
その大木は、クヌギ、コナラ,ヤナギでもなく、何とあの昔懐かしい歌謡曲、高校三年生の歌詞にも出てくるニレの大木であった。 しばし、懐かしい郷愁を覚えたひと時であった。(文・写真 広瀬 進)