【2022年1月】
雪ばれのある日、野辺山高原をドライブした時、枝ぶりの良い松が見えた。 今まで四季折々通っている道だ。
巻層雲の青空と八ヶ岳の雪嶺を背景に、形の良い松の少し雪を乗せた枝が印象を深めている。車を止めてしばし眺めた。
演壇の松の盆栽を思い起こさせる樹形だ。
厳しい冬の季節でも凛とした姿を保っているのが、古来長寿の常盤木として愛でられたのだろう。
二十年前に八ヶ岳南麓に家を入手したとき、庭に野生の赤松の若木が生えていた。
いずれ大木になるし、日陰を作るので今のうちにと切り倒してしまったが、庭には松、との昔気質の義母は残念がっていた。
今回ネット検索で、松樹千年の翠(緑)という禅語を知った。
移ろいやすい自然や人の世の中でいつも変わらないのが松の緑。
残り少なくなったが、我が人生のバックボーンとしてあらまほしきことかな。
(文・写真 高木 宥)